セル容量が低いかどうかは、化成後の放電容量と設計値を比較することで直感的に判断できます。測定された容量が設計仕様を下回っている場合、まず化成プロセスのパラメータ(放電電流、充電時間、カットオフ電圧、化成温度など)が正しく設定されているかどうかを検証する必要があります。
â' 形成手順が正しいことが確認された場合は、別の機器またはチャネルを使用してセルを再テストし、形成システムの潜在的な問題を排除します。
â'¡ 設備交換後も容量が正常であれば、元の形成設備に欠陥があります。
â'¢ 再テスト後も低容量の問題が解決しない場合は、セルが実際に低容量を示していることが確認されます。
容量低下を確認した後、その頻度と重大性を判断するために更なる分析が必要です。体系的な根本原因分析を行う前に、満充電状態の低容量セルを分解して検査してください。異常が見つからない場合、正極コーティング重量不足や設計マージン不足などが原因として考えられます。欠陥が検出された場合は、設計または製造上の問題を検討する必要があります。
根本原因分析:設計と製造の観点
I. 設計関連の要因
1. 材料の適合性
負極と電解液の適合性は容量に重大な影響を及ぼします。新たに導入された負極材料や電解液の場合、試験中に観察されたリチウムめっきの繰り返しは、材料の不適合を強く示唆しています。不適合のメカニズムとして考えられるものには、以下のようなものがあります。
â' 形成中の SEI 層が不十分に形成され、厚すぎるか不安定です。
â'¡ 電解液中のPC(プロピレンカーボネート)がグラファイトの剥離を引き起こします。
â'¢ 設計された電極の面密度/圧縮密度が高率充放電能力を妨げます。
2. 容量設計マージン
正極比容量:設計においては、コーティングの許容誤差、成形装置の誤差、タブの接着による容量低下を考慮する必要があります。新材料については、所定のシステム(アノード/電解質の組み合わせ)において達成可能な比容量を正確に評価してください。比容量は、成形速度、充電カットオフ電流、サイクル速度、電解質の配合によって変化することに注意してください。正極容量を過大評価すると、設計値が過大になり、実際のセル容量が低くなります。
負極過剰と CB 値: 負極に過剰な負荷をかけると、最初は正極の利用率が 1~2% 向上しますが、最適レベルを超えると、SEI 形成中に過剰な不可逆的なリチウム消費が行われ、最初のサイクルの放電容量が低下します。
3. 電解質の充填と保持
電解液の充填が不十分だと、リチウムイオンの挿入・放出効率が低下します。電解液の保持が不十分なセルでは、電極が乾燥し、負極表面に薄いリチウムめっきが付着し、容量低下に直接影響します。
II. 製造業関連の要因
1. 塗工面密度偏差
正極/負極のコーティング重量不足は、容量低下に直接影響します。正極については、乾燥後の重量分析でコーティング重量を確認してください。コーティング厚の不均一性(「陰陽コーティング」)、特に負極下塗りコーティングも、もう一つの原因となります。正極のコーティング重量が多すぎると、比容量が低下する可能性がありますが、総容量は増加する傾向があります。
2. カレンダー加工時の過圧縮
過度の圧縮は活物質の構造を損傷し、電極表面に光沢が現れます。正極ではリチウムの脱離を阻害し、負極では表面リチウムめっきと容量低下を引き起こします。
3. 組み立て公差
電極の配置不良、セパレータのしわ、または内部の微小短絡は、局所的なインピーダンスを増大させ、容量を低下させます。しわのあるセパレータは、影響を受けた領域でリチウムのインターカレーションが不完全になり(負極の外観が金色に変化します)、電池の寿命を縮めます。
4. 水分含有量管理
水分レベルの上昇(電極、電解質、不適切なグローブボックスの露点、または脱ガス処理による)は、副反応と容量損失を引き起こします。
5. 環境管理
高湿度は加水分解反応を促進し、低温はリチウムイオンの拡散を阻害するため、容量は低下します。また、地層温度の変動も容量測定の精度に影響します。
6. その他の要因
異物混入: 金属/磁性不純物により自己放電が増加し、形成後に容量低下の兆候が現れます。
形成前の保管: 高温多湿の環境で長期間保管すると、電極や電解質が劣化し、容量が低下します。
â…¢. 結論
材料の適合性や設計マージンからプロセス制御や環境条件に至るまで、これらの要因を体系的に調査することで、低容量の根本原因を効果的に特定し、対処することができます。
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